こころ、ふわり


「ど〜して萩が泣くかなぁ」


澪は呆れた声を上げながらも、私に感化されてちょっとだけ目を潤ませた。


「もういいくらい泣いたから、涙なんて出ないと思ってたのにな。萩のせいだからね」


「ごめん……」


シュンとして謝る私に、澪は向かいの席に座るよう促してくれた。


「ずっと連絡出来なくてごめんね。親に携帯取り上げられちゃって」


申し訳なさそうに今度は澪が謝ってきた。


あぁ、そうか。
と思う。


だからこちらからいくら連絡しても返事が来なかったのだ。


「謹慎解けて、新学期の明日から学校には行けるよ」


明るくは言っているものの、きっと彼女の心境は複雑だろう。


すべては彼女の瞳に映る暗く宿した光が物語っている。


「澪。何があったの?修学旅行で」


私は前置きをせずに本題を切り出した。


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