こころ、ふわり
ちゃんと先生に気持ちを伝えに来たはずなのに、そうじゃないことばかりが頭をかすめる。
一度それた思考はなかなか元には戻らなかった。
「先生はいいよ。もう好きな人出来たんですよね?私なんてずっと同じ場所で立ち止まってます」
私は泣きたいのを我慢して、不満だけを口にした。
「玉木先生とお似合いですよ。知ってるんだから。教室で押し倒してたって。先生がそんなことするなんて、幻滅しました」
「押し倒……、え?」
芦屋先生の表情が変わる。
なにがなんだか分かっていないような顔だった。
「なにその顔!」
心の声が、完全に現実にリンクしてしまった。
「人の気も知らないで、ひどいよ先生!」
私が声を上げた瞬間、先生の手が私の口をふさぐ。
一瞬、何が起こっているのか分からなかった。
そのまま私の背中は壁に押し付けられ、先生の体が私の体を動けないように拘束する。
顔もびっくりするほど近くて体も密着して、私の心臓はバクバクどころの騒ぎではなくなっていた。