コントラスト
「しっかしそれにしても、お前いつまで一課のパシリなんだ。いくら新人とはいえ、気が弱すぎるんだよ。刑事のくせに。」




 そう言われると返す言葉がない。


村井は腕組みをしながら唸った。



「う――ん…確かに、八崎君への対応はいつも僕に回ってくるよね。」


「厄介者扱いするヤツも多いからな。面倒なことは下に任せるんだろう。」


 彼―――八崎修平はそういうと、白目勝ちな目を細めた。


村井にはどことなく残念そうな顔に見えたが、すぐに彼はいつもの無表情に戻る。


「それよりも、だ。先月分の報酬の話なんだが…。」


「そうか。まだ払ってなかったね。ちなみに希望額は?」


村井は慌ててメモ帳を用意した。


しかし、意外にも八崎は首を横に振った。


「いや、今回は金じゃなくて良い。実は一つ頼みごとをしたいんだ。」



「頼みごと…?」


「ああ。」



八崎は一呼吸置くと真剣な顔をした。


「今、秘書を探しているんだ。」


そしてゆっくりと先をつづける。








「交渉は個人的にする。ただ、お前の力で今からいう条件に当てはまる人物を探してくれ。」









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