白衣を脱いでキス。



やっとのことでマスクを外せた。

これだけのことに随分時間がかかってしまった気がする。

…やっぱり、マスクを取ってもかっこいい。


「理子ちゃんは小悪魔だね」


あたしが外したマスクを弄りながら、先生はフッと笑む。

…小悪魔?


「あたし、なにかしました?」


「…やっぱ、天然なんだね」


苦笑した先生は立ち上がって、マスクをゴミ箱に捨てた。


「さて、理子ちゃんが聞きたいことはなんだっけ?」


…先生は意地悪だ。

そんなの覚えてるクセにあえてあたしに聞いてくるなんて。


「…先生は、さっきなんであたしに“彼女になる?”って言ったんですか?」


立ち上がった先生の身長は高い。

座っていたから見下ろしていた先生の瞳が、今は見上げる位置にある。


「…好きだから、でしょ?」


口元を緩ませた先生があたしの正面にいる。


「さっきは…マスク外しちゃダメって……あたしは患者だって…っ!」


つい感情が高ぶって、声が大きくなってしまう。



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