白衣を脱いでキス。



先生の心の中なんてわかるわけがない。

覗けるものならとっくに覗いてると思う。


「…そんなの、わからないです」


「ねぇ、理子ちゃん。コレ、外して」


コレ、と先生が指さしたのは先生の顔半分を覆うマスク。

ほんの数分前は外せないって言ってたのに。

そう思いながらも、やっぱり外したいという欲望が心の中にあって。

あたしは言われるがままに手を伸ばしてしまう。

先生は話をコロコロ変えるな、なんて思いながら、先生の耳に手を伸ばす。

ヤバイ。

指が、震える。


「…先生、手が震えちゃいます」


こんな至近距離に端整な顔があってどうかしない方がおかしい。

耳にかかるマスクのゴムを取ればいいだけなのに、どうしてこんなに手が震えちゃうの?


「本当だ。でも、理子ちゃんが外してね」


先生はなかなか厳しい…というか意地悪みたいだ。

くすくす笑いながら、あたしの様子を見てる。

いっそのこと、先生が自分で外した方が早い気がするけど。


「…っ」


先生の髪の毛が指に触れて、指先がぶれる。

ぶれた拍子に先生の耳に指が触れて、先生もほんの少しだけビクッてなった。



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