アンガー・グラッチ・ヘイトレッド
黒く染まる空
時刻は午後九時を回ってる。
季節は夏なので通常より日が落ちるのが遅いわけだが、この時間になるとさすがに辺りは暗くなっていて、オレは街灯の明かりと月の明かりを頼りに自転車をこいでいる。
ゆっくりと自転車をこぐ。
今夜のために詩織ちゃんが考えた狩のルート。
今夜のために彼女が用意したであろう自転車。
何処からか聞こえてくる虫達のBGMに耳を傾けながら、ゆったりと自転車をこぐ。
風は無い。
車は通らない。
あるのは街灯の明かりと
月の明かりと
オレと
オレの影と
世界の影。
OK。全て整った。
大丈夫。きっとうまくいく。
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