DesTroMentaL ParaSity
―デストロメンタル パラシティ―
やっとの思いで道を抜け
屋敷内のとある一室に差
し掛かったものの、その
際不意に目に飛び込んで
きた光景に少女は閉口を
余儀なくされた。
『――私の椅子、ない』
半年前にお茶を楽しんだ
かつてのテーブルには既
に少女の分の椅子が除か
れており、あとの二席に
は何とも悲痛に満ちた表
情を浮かべる夫婦が静か
に腰を下ろしていた。
「もう嫌!!こんな惨めな
生活いつまで続くの!?」
突然そう叫ぶなり、女性
は自身の顔を両手で覆い
止めどなく涙を流した。
「確かな保証もなければ
未だに目途だって立たな
いのに……いっそあの子
がいなくなれば、どれだ
け楽になることかっ!!」
そうして一通り喚き散ら
すや否や、女性は勢い良
くテーブルの上に突っ伏
して再びむせび泣いた。
『マ、ママ?何で?何で
そんな酷い事言うの?』
あろうことか実の母親か
ら非難を浴びせられた少
女は、驚きのあまり呆然
と立ち尽くしながらも、
最後の望みにかけるべく
半ば祈るような気持ちで
紳士へと目線を移した。
「………………………」
『――どうしてパパは何
も言ってくれないの?』
ところが、その願いも虚
しく紳士は女性に寄り添
ったまま何一つ言葉を発
しようとはしなかった。