小春日和
前に野田くんがアタシの前の席に座ったとき、アタシは野田くんのことを優しい人だと思った。
でも今は野田くんが怖い。
この日から野田くんはいままで以上に小春ちゃんのところに行くようになった。
小春ちゃんも楽しそうに野田くんと話している。
もしかしたら小春ちゃんも野田くんのこと…。
アタシは屋上に向かっていた。
屋上にはきっと小春ちゃんがいる。
錆ついていて少し重い屋上の扉を開けると給水塔に登った。
「小春ちゃん」
やっぱりそこには小春ちゃんがいた。
寝っ転がって空を見ていた小春ちゃんがこちらを見た。
「日和。珍しいね日和がここに来るなんて」
「うん、ちょっと聞きたいことがあって」
そのためにアタシはここに来た。
小春ちゃんの気持ちを聞くために。
「野田くんのこと好き?」
思ったよりも簡単に聞くことができた。
小春ちゃんは目を大きく開いてアタシを見た。
それから静かに答えた。
「好き…かも」
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