ACcess -縁-
頭の上に疑問符を乗せた間抜け面で俺に質問を返してきた。
「えーっと、見ている夢がってこと?」
「それ以外に何を聞いてるんだ?」
「…うーん。
 なぁ、見る夢ごとにカラーだったり、色が付いてたり、自分の視点だったり…第三者の視点だったりしないか?そう言う事?」

なんでこう、的はずれな回答をしてくるのか分からない。
「違う。
 なんか…リアルな感じの。
 こう、さっきの俺みた…」
「そんな夢、見ない。」

最後まで言葉を言う前に、歩に言葉を遮られた。
「…おい?」
「そんなの、夢じゃねぇ。
 そんな夢なんてオレは見ねぇ。」
きつい目つきで俺を見ると、顔を背けた。

そのまま歩は、俺と目を合わせることもなく本を閉じ、PCの電源も落とした。

PCが完全に落ちるまで二人の間には気まずい空気が流れた。

何か間違った事でも聞いてしまったか?
まさか地雷?


PCの画面がやっと黒色になり、光を放つ事を止めた。
それを見届けた歩は、すごい勢いで俺の…まぁこいつのなんだが、布団の中へ滑り込んできた。

「うぎゃっ!」
「どけろ!この変態!」
「意味が分からん!さっさと出て行け!ここは…」
「いや、オレの部屋だ!オレのベッドだ!出て行くのはお前だ!」
「五月蠅いっ!先にここにいたのは俺だぞ!」
「母さんに叱られるっ静かにしろぉ!」
「お前が静かにするんだな!」

そんなに広くないベッドに、男二人。
狭いに決まってる。

布団の取り合いをしばらくして、落ち着く位置を決めると同時に静かになる。
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