死霊むせび泣く声
 俺はキーを叩く作業の合間を縫って、ネットでニュースを見ていた。


 会社員が知っておかないと話にならない情報をネット経由で得るのだ。


 昔――今から八年前の入社したての頃だが――は新聞や雑誌、ビジネス書などから情報を拾っていた。


 あの頃は二十代前半で、まだまだ俺も同期入社の高村も磯野も若武者だった。


 今、部下こそいないのだが、後輩社員たちはぞろぞろと入ってきて、俺は身が引き締まる思いでいる。


 後輩たちに指導をしなくてはならないからだ。


 確かに神経を割くことは多くなった。


 だが、疲れたら合間に休憩を入れることもある。


 要は俺自身が、この東京都心から幾分遠い、関東でも東の外れの県にある街で、ウイークーデーはサラリーマンをやりながら疲労感を覚えているのだ。


 夜遅い時間帯に帰宅するため、電車に乗り込むと、俺は車内で居眠りしてしまう。


 幸い終点が俺のマンションのある街なので、降りそびれることはない。

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