引っ込み思案な恋心。-1st
「…え!?」
この勢いで最後までいけそうな気がしたのに、またバランスを崩して落ちてしまった。
…どうしよう!?
もう、他の4人はゴールしてしまった。
コースに残っているのは、私だけ。
全校生徒に見られている。
早く終わらせたい。
けど……
その時、ざわめくグラウンドに一際大きな声が響いた。
「おい!杉田!!一回落ち着け!」
え?
この声……、瀬川くん???
ふと声のした方を見ると、さっきまでテントの奥にいたはずの瀬川くんが、まさにグラウンドに飛び出そうとする勢いで真剣に私の方を見つめていた。
うそ…!?
「杉田!落ち着け!絶対渡れるから!!」
もう一度瀬川くんの声が聞こえて、私は小さく頷いた。
そうだ。
練習ではミスしないところまでいけてたんだ。
私に渡れないことはない。
小さく深呼吸をして、私はもう一度平均台に乗った。
私に向かってくる、無数の視線が怖い。
変な緊張感が走る。
だけど……
瀬川くんのまなざしがあたたかいことだけは分かるから。
ただ、それだけは感じ取れるから。