引っ込み思案な恋心。-1st





「杉田、お疲れ」



「…瀬川くん?」





隣に座ったのは、瀬川くん。





私はさっき、瀬川くんの声援を聞いて頑張ったから、その張本人がいきなり横に現れて、少し緊張した。





「よく頑張ったな。杉田らしさが出てて良かったと思う」





ドキ………





すごく柔らかい微笑みを見て、鼓動がまた速くなった気がした。





「あ、ありがとう…」





それしか言えない。





もっと言いたい事、たくさんあるはずなのに。





「だね。諦めないところが柚らしいよね。うちらもリレー頑張っていかないと!」





代わりに口を開いたのは、あゆだった。





「ああ。俺らも最後まで諦めないリレーをしないとな。まだまだ回ってこないけど、応援しろよ、杉田」



「もっ、もちろん!」





確か、リレーはプログラムの一番最後だよね。





得点が競っていたら、一発逆転もあり得る団体競技。






「この後、例のマサのむかでが登場するんだろ?すげー気になるんだけど」



「そうだよね。結局ちゃんと走れてないらしいし、どうなっちゃうんだろ」





あゆが瀬川くんにそう返していると、後ろからクラスの女子の声が聞こえてきた。





「多田さん!呼び出しなんだけど」



「え?私?」





あゆは後ろを振り向いた途端、急に表情を変えた。





それまでリラックスして笑顔で話していたのに、緊張してこわばった笑顔になっていた。





「…どうしたの?あゆ」





私が声をかけると、あゆはハッと我に返り、いつもの笑顔を私に向けた。





「え…ちょっと行ってくるね。すぐ帰るから、待ってて」



「うん、分かった」






何か、おかしい。



おかしいとは思ったけど、それ以上詮索できなかった。





あゆは急いでテントを出て、ある男の人の所へと走っていった。





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