引っ込み思案な恋心。-1st
あれ?
あの人、見たことがあるような………。
スラッと背が高くて、スポーツ刈りが似合う、爽やかな感じの男の人。
顔もかっこいいし、一度見たら忘れるわけないんだけど……。
「あっ、あの人、誰だっけ?ほらほら……」
瀬川くんも見たことあるんだ?
誰だっけ……?
名前が出てこない。
「あ!!前の生徒会長!!3年の笠原(かさはら)先輩!」
「あ…、そうだ、生徒会長!」
瀬川くんに言われて、ようやく思い出した。
生徒会は年に一度、7月に執行部が交替する。
今の執行部は2年生がやっているんだけど、それまでは笠原先輩率いる3年生のメンバーがやっていた。
幾度となく体育館のステージ上でしゃべっていたはずなのに、数か月の間で思いっ切り忘れてるなんて……。
だけど、3年生の先輩が、何で1年のあゆに用事なんだろう?
「多田、何かやらかしたんじゃね?」
「え…、そんなことないよ、きっと」
「じゃあ、何で3年から呼び出しかかるんだよ?」
「それは…分かんないけど……」
確かに、一瞬見えたあゆの緊張した笑みは、ただならぬことが起こっている証拠なんだろうけど……
「ま、いいや。次、むかでだろ?マサと細井、応援しよーぜ」
「え……、うん」
ち……、ちょっと待って。
よく考えてみたら、瀬川くんと二人になってるじゃん!!
ヤバすぎるよ、この状況!
もちろん、周りに人はたくさんいるんだけど、瀬川くんと二人だって考えただけで、急に緊張が押し寄せてきた……!
あゆよりもヤバイかもしれない、、、今の私。