おしゃべりな百合の花
 車で送らせてもらえる事になり安堵し、と同時に美百合の身の危険を想い不安になる。


 恋人ではなく、傍にいさせてもらうにはどうすれば良いか、運転しながら必死で考える。


 美百合は先程の暴れ振りとは打って変わって、今はとても大人しい。


 助手席でずっと黙ったまま俯いていた。


「俺は、仕事の関係上、誰かと親しくなったり、ましてや恋人なんかつくれないんだ。」


 龍一は言葉を選びながら、慎重に話す。


「そんな仕事知らない。芸能人かなんかなの?」


 俯いたまま、美百合がボソボソ呟いた。


「まぁ、そんなようなもん。」


 自分の嘘に苦笑する。


「『俺は誰のものにもなりません。皆さんのりゅういちです』みたいな?」


 皮肉たっぷりに美百合は言い、龍一に疑いの眼差しを向けた。


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