おしゃべりな百合の花
 美百合が何者かに狙われていると確信した以上、放っておく訳にもいかない。


「悪かった。こんなつもりじゃなかった。頼むから車まで戻っ…」


 龍一が引き止めるように美百合の腕を掴むと、


 触らないでと、ものすごい剣幕で怒鳴られ、その手を振りほどかれた。


 龍一は仕方がないので、歩いて家まで送る覚悟を決めた。


 が、5分程して、美百合は立ち止まり、


「ここ…どこ?」


 龍一にそう尋ねると、子どものように泣き出した。


 龍一は取り敢えずホッとし、


「おいで。」


 と優しく美百合の肩を抱き、踵を返して先程のホテルへ向かった。


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