letter~母へ~


「似合うよ」


「本当~?」


樹ちゃんがくるんと僕の前で一回転した。


樹ちゃんはまるで女子になったかのようにはしゃいでいる。


「そのワンピースあげよっか」


「えっ」


「あげるよ、それどうせ僕着ないし。もったいないだろ?」


「本当?」


樹がぱあっとさらに嬉しそうな顔をした。


「母さんたちには内緒な」


「わかった。ありがとう!あさちゃん!!」


樹ちゃんも本当は女に生まれたかったんだろう。


幼稚園のころから仮面ライダーを好きになるどころかキティちゃんが好きであいつの母さんにキティちゃんグッズをねだっていた。

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