致命的フェティシズム【BL】
 
「失礼します」


 背後から聞こえるその声に、俺はビクリと肩を揺らす。


 ──白木だ。


「よかった。先生まだ居たんだね」


 何が良かった、だ。


「こんな時間にどうした。もう授業始まるだろう」


 平静を装いつつ振り返れば、白木は俺の直ぐ近くまで来ていた。


「先生に、どうしても聞きたいことがあって」


 俺よりも20センチ以上背の低い白木は、黒目がちの大きな瞳で俺を見上げてくる。


 鼓動が、早まる。

 見上げられる視線が、痛い。


 徐に伸びてきた細い手が、俺の白衣を掴む。
 

「先生、顔赤いよ? 熱でもあるとか?」

「聞きたいことがあるんだろう? 早く言え」

「……つまんねーの」


 ポツリと呟いて手を放す白木は、首を傾げて俺を見上げる。


「俺が言ったこと、忘れてないよね?」

「意地悪だとか何だとか、言ってたな。あれはどういう意味だ」

「あんなのどうだっていいよ。それより、先々週言ったこと忘れてないよね」
 
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