水音
快と出会って3週間が過ぎた。

5月28日。

この日は私の誕生日。
そして、快の誕生日。

驚いた事に快とあたしは同じ誕生日だった。


これって運命…?


「これって運命じゃね?」

あたしと同じ事を思ってくれていた事に更に運命感じずにはいられなかった。



そして、アタシはこの日ようやく仕事を決めた。

これで元の生活に戻ることはないだろう。

携帯の電源も切れたまま。

もうあたしには快しかいない…。


快が駅まで迎えに来てくれて、二人で手を繋ぐ帰り道。

「ごめんな、ホントはホテルとか予約したかったんだけど…」

小さな飲食店でバイトしてる快と今日仕事が決まったばかりのあたし。

ささやかなパーティーの用意を近くのスーパーで買う。

ビール、
快の好きな激甘カクテル、
お菓子におつまみなど。

それで十分…

都会の夜景より、ホテルでのディナーより、あたしが望んでいた幸せがあった。

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