水音
アパートについてパーティーの準備をする。

悪いけど、手料理はないよ。
あたしそんなに料理得意じゃないしね。

快と暮らすようになって努力はしてるけど、飲食店で勤めてる快の方が断然上手だから恥ずかしいし…

「たまには悠奈の手料理食べたいな♪」

頭を寄せて甘えてくる快。
甘えたってダメだから!

「そのうちねッ」

照れながらそっけなく返事する。

「その代わりね…」

あたしはデニムのポケットからシルバーのネックレスを取り出して、快の首に手を伸ばした。


シルバーのチェーンに白いシェルで作られたクロスのネックレス。

あたしの胸には色違いの物がついている。

そんなに高い物ではなかったけど、つい一目惚れして買っちゃったんだ。

だって、白いクロスが快の笑顔によく似合っていたから。

それに、シェルは私達が出会った海を思わせたから。

あたしは産まれて初めて彼氏にお揃いをプレゼントした。

今までペアリングでさえ鬱陶しく思っていたあたしがプレゼントするなんてね…


胸に揺れるシェルのクロスがくすぐったい。

「まじ!?ありがとう!オレ何も用意してなくて…その代わり金はかかってないんだけど…」


快からのプレゼントは…
手作りケーキだった。

苺と生クリームたっぷりでキャンドルがならんでいる。

しかも1ホール!?

一体いつ作ったんだろう?



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