゚。*゚甘い魔法にかけられて゚*。゚
その日の放課後。
例のごとく、図書室のいつもの定位置に
座って本を読みあさっていた私。
「はぁ…やっぱりここはいいなぁ。」
最近目立ってきた大きなひとりごとを言いながら、ふと目を閉じる。
グラウンドから聞こえてくるサッカー部のかけ声。
校内に広がる吹奏楽部の音だし。
本の乾いた独特の匂い。
出しっぱなしの本のページが
風でめくれる音。
ここにいると一人きりだけど寂しくない。
「誰も来ないからって、居眠りか?」
ひとりの世界に浸ってると突然聞き慣れた声がして、びっくりして目を開く。
「先輩っ…」
前のテーブルに腰掛け、腕組みしながら面白そうに笑ってる先輩がこちらを見ていた。
い、いつから居たんだろ…?
恥ずかしい…。
「先輩、来たなら声かけて下さい。
びっくりします。」
「何だよ、せっかく自分の世界に浸って
ニヤケてたから声かけずにいてやったのに。」
「に、ニヤケてなんかいません。」
「はいはい。」
な、何かくやしい。
先輩絶対いじめて楽しんでる。
「何か借りるんですか?」
ちょっとブスッとしながらも、図書委員の役目を全うする。