蒲公英
どうしてこうなってしまったのだろう。

いくら寂しがりやと言われた僕でも、どうでもいい女性と結婚の約束を交わしたりしない。

例え幻でも、河南子を好きだと想った瞬間は確かにあったはずだ。






それが今はどうだ?

責任や義務なんて言葉抜きに僕の気持ちは存在しないではないか。






プロポーズしたあの夜から…。











―湧己…。











声が聞こえて眠れない。

沙羅が恋しくて仕方ない。






たぶん…、心の中は別れた直後と同じくらいボロボロだった。

廃人同然にまでなったあの頃と…。
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