紙ヒコ―キ
「くそッ!逃げ切りやがった!!」
そんな男達の声がして、足音は遠くなっていった。
…どうやら、逃げ切れたみたいだ。
助かった……。
そう思うと、一気に力が抜けたあたしは、その場に崩れる落ちる。
涙が…ボロボロと頬を伝ってゆく。
…怖かった。すっごく、怖かった…。
―――!!
その時、頭にのった温かい大きな手。
あたしは驚いて、パッと顔を上げる。
…その手は、宮地葵の手で。
あたしの方を見てないから、どんな顔してるかは分からない。
…だけど。その優しい温もりは、涙を刺激してしまった。
あたしが泣いている間、宮地葵は黙って、頭を優しく撫でていてくれた。