紙ヒコ―キ
「あんなに堂々と好きって言えるんだもん。…あたしには出来ない。」
そう言って、小さく笑う。
「……それは、人それぞれじゃないの?あたしも言えない。」
杏里が笑う。
「……杏里も?」
「うん。でもね、別に好きって気持ちを他の人に言わなくてもいいと思うの。自分がちゃんと相手の事を想ってれば、それで充分じゃない?」
「そう、だよね……」
「だから、ゆっくりでいいんだよ。…なんて、あたしが言える立ち場じゃないけどさ。」
あたし恋してないから、と杏里はまた笑う。
「……ううん。ありがとう。」
あたしがそう言うと、杏里は頷いた。