空き瓶ロマンス
 


だけど本当は、足場を揺らさない為にも、

なるべく動きたくなかった。
 
だから必死に、腕を伸ばす。
 
もう少しだ。

猫が、逃げない限りは。
 
しかし、ほっとしかけて私が猫の胴に触れた時、

何を思ったか猫は急に飛び上がり、空中に躍り出たのだった。



(馬鹿っ……!)
 


だけど、もっと馬鹿なのは私だった。



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