年下の王様
その日の夜、亘先生と居酒屋へやって来た。



もちろんあたしは飲まない。



「亘先生はどうして教師になったの?」

「他にすることがなかったから?よくわかんねぇっス」

「あたしも多分そんな感じ。でもすごく楽しくて…辞めたくない…」

「じゃあ別れたら?そしたら俺、言わねぇし」

「どうしようかな?」

「遊び感覚なんスね。所詮ガキに本気になんねぇって?」

「それはナイよ、死ぬほど好きだもん」



飲みかけたビールをゴホッと詰まらせた亘先生に満面の笑みをお返しした。



斗和と別れる気なんかない。



もう離れないって決めたから。



心は絶対斗和のそばにいる。



あたしも教師をやめない。



「うちのクラス、お願いします」

「は!?やめる気!?」

「最悪、辞める気でいる。だけど少し離れる。1年、休職します。だからクラスをよろしくお願いします」



そう言ってお金を置いて店から出た。



あたしはやめない。



斗和とも離れない。



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