夢の彼方
「―――他の男が、あんたのその姿を見るのは―――耐えられない」


どきんと、胸が大きな音をたてた。


それは、どういう意味?と


聞きたいのに、声にならない。


握られた手が、熱くて震える。


まるで、体中の熱がこの手に集まってしまったみたいに。


どうしていいかわからずにいると、今度はレジーの逆の手が、わたしの頬に触れた。


するりと、優しく撫でるように触れる手は、とても冷たくて。


その感触に、思わずピクリと震える。


ゆっくり視線を上げると、そこにはレジーのきれいな顔が―――


いつもはクールなその青い瞳が、今はなんだか熱い熱を帯びているように見えて。


目をそらせたくても、そらすことができない。


ほんの数秒だったと思うけれど。


まるでそれが何時間もの長い時間に感じられた。


気が付いた時には2人の唇が重なっていて―――


わたしはレジーの腕にしっかりと抱きしめられていた。

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