夢の彼方
「あら、こんなところにも彼を連れて来てるの?」


タケル君の姿を見つけると、義姉がちらりと嫌味な視線を投げた。


「手伝いに来てくれたんです」


「なんの手伝いをするんだか―――彼、結婚してるんでしょ?おかしなことにならなきゃいいけど」


「史子、やめなさい、こんな席で―――ごめんなさい、優奈さん。お母様のこと、本当に残念だったと思ってるのよ。わたしよりも若かったのに・・・」


義母の言葉に、わたしは頭を下げた。


「―――ありがとうございます。どうぞ、焼香して行ってあげてください」


「そうさせてもらいます。ほら、史子―――」


義母に連れられて、義姉も行ってしまう。


思わず溜息をつくと、タケル君が心配そうにわたしを見た。


「大丈夫か?ごめん、俺がいたせいで―――」


「ううん、こっちこそごめん、嫌な思いさせて。いつも助けてもらってるのに―――」


その時だった。


「失礼します」


ちょっと低い、でもよく響く女性の声に、わたしたちははっとしてそちらを見た。


受付にいたわたしたちの前に立った髪の長いその女性は。


「千鶴―――」


タケル君の奥さん、千鶴さんだった・・・・・。
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