夢の彼方
「すいません、ルイさんですよね!ブログ、いつも見てます!」


そう言って声をかけてきた若い女の子。


『ルイ』というのは、ブログで使っているわたしのハンドルネームだった。


「写真、撮らせてもらっていですか?」


いつものことと、わたしはそれを承諾し、彼女が写真を撮るのを待っていたのだけれど。


それを見て、ついでにという感じでカメラを構える人たちが数人。


まあいいかなんて暢気に構えていたら、我も我もなんていう感じで、あっという間に人だかりができてしまった・・・・・。


「ママ、どんどん人が集まって来てるよ?」


紗菜がわたしの後ろに隠れるようにして言う。


「―――やばいかな」


里菜も、わたしの腕をつかむ。


瑠加もわたしに抱きつくように身を寄せて。


「―――逃げた方がいいかな」


わたしは子供たちと一緒に、じりじりと後ろに下がり始めた。


カメラのシャッター音が鳴り響く中、わたしは紗菜の手を握った。


「里菜、瑠加を頼むね」


「わかった」


里菜が瑠加の手を握ったのを確認する。


「あの、そろそろごめんなさい」


そう言ってにっこり笑い―――


「失礼します!」


そう言うが早いか、わたしたちはくるりと向きを変え、猛ダッシュで走り出したのだった・・・・・
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