夢の彼方
「わたし、ルークといいます。あなたのブログのファンなんです。よく秋葉原に来てると聞いて―――本当に会えるなんて夢みたいだ!」


ルークというそのガタイのいい白人の男はわたしの手をぎゅっと握り、嬉しそうにそう言った。


「あ、あの―――」


「あなたのコスプレは素晴らしい!とてもかわいくて、それでいて色気がある。いやらしい色気じゃなく、とてもさわやかな色気だ」


「は、はあ・・・・」


それにしても日本語のうまい外人だ。


「あなたともっと話がしたい。お願いです、どうか僕と一緒に食事を―――」


「ちょ、ちょっと待ってください。そんなこと急に言われても―――あなたは一体―――」


「ああ、僕は、今仕事で日本に来ていて―――」


ルークがそこまで言った時だった。


隣に立っていた背の高いプラチナブロンドの男が口を開いた。


『社長、時間です』


抑揚のない口調。


当たり前だが、英語だ。


「ああ、もうそんな時間か―――」


ルークが腕時計をちらりと見た。


「すみません。僕はこれから仕事で―――」


そこまで言いかけ、急に何かを思いついたように目を見開いた。
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