禁断の恋
『わたし・・・飲み物買ってきますね』
気まずそうに笑って
部屋を出て行った女。
ドクドク
と血が激しく波打つ。
「はぁはぁ・・・だめ、だっ・・・」
亜美を思い出す。
女を見ると
思い出してしまう。
「司?!」
亜美との
楽しい記憶
苦しい記憶
悲しい記憶
喧嘩したときの記憶。
全部全部頭を一気に駆け巡る。
女を見ると
毎回毎回こうなってしまう。
「はっ・・・」
滲んだ視界で薬を探って
飲む込む。
「っ・・・はぁ」
泡のように
音もなく散った花は
淑やかに俺の心に
名残惜しく
花びらを残す。
俺にとっての花は
亜美だったのに。
亜美だけだったのに。