過去作品集○中編

お店の入口付近。

『わっ、これ可愛い!!』

早くも標的を見つけてしまい、吉見の肩を掴んで足を止めた。

『指輪?』

『うん! 一目惚れしちゃった』

『いいけど…… 指輪とか意味深じゃね?』

……まぁね。
でも左手に着けるわけじゃないし、誰も突っ込んでこないと思うけど。

『ってか、サイズが無いし!』

今さら気付いたけど、7号がない。
13号とかデカイのあるけど、誰が買うんだよ、こんなん……

『何? 指に入らないの?』

『ぎゃ、逆に大きすぎるんだってば! これでも7号なんだからね』

置いてあるやつ、明らかにデカイじゃんか。

『……んじゃ俺が買おうかな』

『はい?』

『薬指ならサイズ合いそうだし』

ってか、花柄だけど!?
女物ですけど!?

『払ってくるから待ってて』

えぇ~!? マジで!?


呆気に取られ、止める間もなく吉見はレジへと行ってしまった。

それから5分。
吉見はまだ戻らない。

いくらなんでも、会計に時間かかりすぎだよ。


『ごめんごめん。 店員さんに同じの探してもらってた』

10分が過ぎる頃にようやく戻ってきた吉見は、何やらピンクの袋を二つ持っていた。

『どういう事?』

『ほら。 7号なんだろ?』

意味も解らないまま渡される袋。
中には……さっきの指輪だ。

『わざわざ店員さんに聞いてくれたの?』

『うん。 俺とお揃いにしたかったから』

ニコッと無邪気に笑う吉見。
よくそんなこと恥ずかしげもなく言うなぁ……

でも、

『ありがとう。 大事にするね!』

すっごく嬉しいよ!
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