過去作品集○中編
『お二人さん! 熱いねぇ』
教室に入ると、何故かクラスメイト達が私達に拍手と冷やかしを送った。
ふと気が付くと、私達は手を繋いだまま。
『こッ これは……!』
急に恥ずかしくなってバッと手を振り払う。
そんな私に、吉見は苦笑してた。
『お前ら暇人だなぁ』
『いやぁ、誰もがお前らの結末に興味津々なんだよ』
ニヤニヤしながらそんな事言うから怒る気失せたよ。
でも、確かに注目のカップルかも。
兄貴の元カノに、元カレの弟……
昼ドラみたい。
と、思っていたら、千里がバッと抱き着いてきた。
『夏乃~! 心配したよぉ!』
今にも泣き出しそうな千里をヨロけながらも支え、抱きしめる。
『千里、心配かけてごめんね?』
『うん! でも吉見と上手くいったみたいでよかった』
『うん……』
チラッと吉見を見ると照れ臭そうに笑ってる。
何だか嬉しいよね?
私達のために、こんなに心配してくれるなんて。
私、この子を大事にしなくちゃって、心底思った。
『そーだ夏乃。 早く席行って』
と、何の前触れもなく言う千里。
理由はよく解らないけど、とりあえず自分の席に向かう。
しかし……
『あれ? 机が……違う?』
木目の感じとか色合いとか、私の机じゃない気がする。
でも席の場所は私の場所だし……
『それ、私の机だよ』
『え? 千里の?』
ますます意味が解らない。
何で千里の机がここに?
『夏乃はあっち。 私と交換ね』
交換?
交換ってまさか……
『吉見の隣は、やっぱ夏乃じゃなきゃね!』
へへっと子供のように無邪気に言う千里を、ガバッと抱きしめる。
嬉しい。
嬉しいよ、千里。
『ありがとう、千里』
また吉見の隣にいられるんだ。
『よろしくね、吉見』
ずっと隣。
授業中も昼休みも放課後も。
ずっと、吉見の隣にいられるんだね。
『こちらこそよろしく、夏乃』
大好きな吉見の、甘い香り。
隣からフワッと私の鼻をくすぐった……