過去作品集○中編

『お二人さん! 熱いねぇ』

教室に入ると、何故かクラスメイト達が私達に拍手と冷やかしを送った。

ふと気が付くと、私達は手を繋いだまま。

『こッ これは……!』

急に恥ずかしくなってバッと手を振り払う。
そんな私に、吉見は苦笑してた。

『お前ら暇人だなぁ』

『いやぁ、誰もがお前らの結末に興味津々なんだよ』

ニヤニヤしながらそんな事言うから怒る気失せたよ。

でも、確かに注目のカップルかも。

兄貴の元カノに、元カレの弟……
昼ドラみたい。

と、思っていたら、千里がバッと抱き着いてきた。

『夏乃~! 心配したよぉ!』

今にも泣き出しそうな千里をヨロけながらも支え、抱きしめる。

『千里、心配かけてごめんね?』

『うん! でも吉見と上手くいったみたいでよかった』

『うん……』

チラッと吉見を見ると照れ臭そうに笑ってる。

何だか嬉しいよね?
私達のために、こんなに心配してくれるなんて。

私、この子を大事にしなくちゃって、心底思った。

『そーだ夏乃。 早く席行って』

と、何の前触れもなく言う千里。

理由はよく解らないけど、とりあえず自分の席に向かう。

しかし……

『あれ? 机が……違う?』

木目の感じとか色合いとか、私の机じゃない気がする。
でも席の場所は私の場所だし……

『それ、私の机だよ』

『え? 千里の?』

ますます意味が解らない。
何で千里の机がここに?

『夏乃はあっち。 私と交換ね』

交換?
交換ってまさか……

『吉見の隣は、やっぱ夏乃じゃなきゃね!』

へへっと子供のように無邪気に言う千里を、ガバッと抱きしめる。

嬉しい。
嬉しいよ、千里。

『ありがとう、千里』

また吉見の隣にいられるんだ。



『よろしくね、吉見』

ずっと隣。

授業中も昼休みも放課後も。
ずっと、吉見の隣にいられるんだね。

『こちらこそよろしく、夏乃』

大好きな吉見の、甘い香り。
隣からフワッと私の鼻をくすぐった……
< 119 / 120 >

この作品をシェア

pagetop