過去作品集○中編

『煙草って美味しいの?』

定番ともいえる質問をすると、吉見は私の手を引っ張った。

『味見してみる?』

ニッと笑うと突然、顔を近づける。

え?
まさか味見って……ッ

『吉……ッムグ』

抵抗する間もなく、吉見の唇が重なる。
そして、緩く閉じた唇の隙間を縫うようにして、煙草の煙が……

『に、 苦い~!!』

初めて煙草の味を知ったけど、何で苦いの!?
匂いは、こんなに甘いのに。

『お前、もしかして「香りがアップルミントなら味も」とか思ってた?』

『そ、それは……』

『あは。 んなわけないじゃん』

馬鹿にしたような笑い方。
こういう所は、誠に似てると思う。
なのに、何か違う。

こんなにドキドキしなかったもん。


と、その時。

《キーンコーンカーンコーン》
もう一度チャイムが鳴って、校庭に人が出てきた。

『授業終わったね』

少し名残惜しい。
だって教室に行っても、もう吉見は隣にいないんだもん……

『戻ろうか』

吉見は私の手を握って、屋上の扉を開けた。

いつの間にか、隣にいるのが当たり前になってた。
あんなに嫌だった吉見の隣が、いつからか心地好いものになってた。

色んなすれ違いを経て、ようやく恋人になれたっていうのに……

すごく、寂しいよ……
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