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「結衣さ、七瀬兄弟ファンの過激派達に酷い事されてない?」
いつになく真剣な表情で見つめてくる美奈に、私からさっきまでの笑顔が自然と消えていった。
『何もされてないけど…。
過激派達がどうかしたの?』
「ううん。
ただ何かされてないかなーって心配になっただけ!」
『そっか』
またいつもの笑顔になった美奈を見て、少し不安になった気持ちを消した。
何かあるのかと思ってドキドキしちゃったよ。
「あーっ!もう6時じゃん!」
『え?用事あるの?』
「そうなんだ!家族と食事会なの!
これ私の分のお金!」
財布を開けて中から千円札を一枚渡された。
「ほんとにごめんね!」
申し訳なさそうに両手を合わせて謝った。
『ううん。大丈夫だから行きなよ!』
「ほんとにほんとにごめんね!
じゃあ!また遊ぼーね!」
『バイバーイ!』
手を振って店を出た美奈に私も軽く振った。
夜まで遊べるかと思ってたけど、仕方がないよねー…。
楓達が帰って来るまで家で勉強でもしてようかな。
やる事を決めた私は、美奈に渡されたお金と一緒に自分の分も払って店を出た。