幼なじみは俺様王子。




いざ、扉の前に立つと心臓がドキドキして止まない。


ど、どうしよう……

なんて言ったらいいの?


“気持ちは言葉にしないと伝わらない”


ふと、その言葉があたしの頭をよぎった。


……そうだ。


さっき言えなかったことを、今度ことはちゃんと伝えなきゃ。


恥かしさなんて捨てるんだ、あたし。


そう自分に言い聞かせて、意を決してドアノブに手をかける。


でも、肝心の扉はなかなか開けられなくて。


あぁあああああ!


なにやってるのよぉおおおお!


早く開けなきゃっ。


気持ちを伝えなきゃ。


自分の思いばかりが早とちりして、扉を開けることが出来ない。


……はぁあああああ。


我ながら情けなくなる……。


「……あたしのバカ」


――ガチャッ


何気なくそう呟いた瞬間、勢いよく扉が開いた。


「……えっ」


開いた口が塞がらない。


「ど、どうして……?」


そこにいたのは紛れもなく……


「……ここで何してんの?」


少し濡れた黒髪をうざったそうにかきあげる彼の姿だったから……。






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