幼なじみは俺様王子。



ど、どうして?


どうして、爽がここにいるの?


魚みたいに口をパクパクさせて呆然と立ち尽くすあたし。


「……おい、楓。コイツ、なんとかしてくれ」


なぜか不機嫌な爽は後ろを振り返って楓を呼んだ。


「……あ? んだよいきなり……」


爽の隣に現れた楓の口が止まった。


「……穂香」


驚いたように目を見開いて、あたしをずっと見つめる。


「ご、ごめんなさい! あたし…帰りますっ!」


ペコッとお辞儀をして、立ち去ろうとしたあたしを


――グイッ


「待てよ」


爽が止めた。


「お前に聞いてもらいことがある」


「……へっ?」


き、聞いてもらいたいこと……?


「俺達のことだ」


楓と爽のこと……


……あっ。


――『全部、俺らの犯した罪だ。それは消えねぇ……』


――『アイツの気持ちも考えないで』


爽が聞いてほしいって言うのはきっと、あたしの知りたいことなのかもしれない。


ふたりの関係。


そして……

“アイツ”と言う存在……。






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