幼なじみは俺様王子。




「まぁ、入れよ」


爽に言われて、あたしは部屋に足を踏み入れた。


と、その時……


――ガタンッ


扉が思いっきり閉まる音がして。


驚いて振り返った時には、もう爽の姿はなかった。


「おいっ! なにしてんだよっ!」


扉の向こうから、爽の荒い声が聞こえる。


そんなことは気にも止めずに、楓はあたしをベッドに押し倒した。


「ちょ、ちょっと……っ!」


な、なにやってんのよぉおおおお!


まだ外に爽がいるのに……。


「だ、だめ……」


楓は体重をかけないように、あたしの頭の横に手を置いて真っ直ぐにあたしを見つめる。


ドクンッ…


そのブラウンの瞳に捉われて、あたしの心臓は激しく暴れ出す。


「もう、我慢出来ねぇ」


その言葉と共に、甘いキスが降ってきた。


楓の少し汗ばんだ体と、甘い香りに翻弄されて、抵抗の言葉さえ忘れてしまう。


爽が扉の向こうにいるのも忘れて……。


あたしは楓のキスに溺れていた。





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