幼なじみは俺様王子。
あたしの髪を優しく撫でて、
「穂香に触れたい」
ふんわりと微笑んで、
触れるだけの優しいキスをする。
あたしはやっぱり……
楓が好き。
甘いキスや言葉も。
さりげない優しさも。
いつもあたしにくれる。
みんなの知らない。
あたしだけが知ってる王子様……。
「……穂香は俺のものだろ?」
「……へっ?」
そんな唐突な質問に目を見開いた。
なんでいきなりそんなこと聞くの?
やっぱり楓…おかしいよ。
いつもと違う。
「お前が爽に抱き締められてんの見て、すげぇ妬いた」
えっ……?
――『抱き合うなんて、お前ら朝から熱いな?』
突き刺さった言葉と冷たい瞳が蘇ってくる。
……あの時楓は、妬いてくれたの?
「情けねぇくらい好きなんだよ……」
そう言ってあたしをギュッと抱き締めた
「楓……」
「穂香が他の男の腕の中にいるなんて見てらんねぇ……」
抱き締める力が一層強くなる。