チョコレート大作戦【短編】

「さ、聡志っ。
今日は一緒に帰ろうね」



なにやら顔を真っ赤にして言う俺の彼女。



おおっ、と軽く返事をするなり逃げるように俺の元を離れていく。



何だあいつ。



『今日は』って、いつも一緒に帰ってんのに。



未乃里の行動は、いつも手に取るように簡単なのに、
突拍子もないことをたまに言うからわからないことがある。



まあ、単純だしすぐに分かるだろう。



そんなことを考えながら未乃里の去っていく後ろ姿をなんとなく目で追ったら、
隠すように後ろに持っているものが目に入った。



ああ、そういうことか。



バカなやつ。
隠してる意味ないし、今持ってくる意味もわからねえ。



けどそんなとこが可愛くて、
思わず1人で笑ってしまった。



どうやってからかってやろうかな。



今日の放課後を待ちながら、授業中そんなことばかり考えていた。



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