眠る心
車内を、沈黙が支配する。

貴方の手が私の頬に触れ

貴方の唇が、私の唇に
触れた。

その口づけは、紫季と
今までに交わした事がない程に
濃厚で、離れない唇から
お互いの息が洩れる。

蕩けるような口づけに
胸がドキドキする。

このまま、一つになりたい

貴方の傍に・・・

そう想った時、私は
ほんの少しだけ柊雨さん
の事を思い出した。

『もう少し
 
 一緒にいようか』

私の左手を強く握り締める
柊雨さんの冷たい手の感覚を
思い出す。

貴方の甘い瞳・・・

私は、紫季の胸を
押して、彼から離れて
車から降りた。
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