しゃぼん玉

お兄ちゃん(前編)

私は姉が2人、兄が2人いて、5人兄弟の末っ子。長女は早苗。長男は太一。
次男は光繕。次女は愛歌音。そして私(幸)。

学園に早苗ちゃんは入らなかった。
家にいた頃、学園に入る話を一人知っていて夜にいなくなっていたのだ。
5人いた兄弟が4人になって すごく心細かった。
でも兄や姉が私の事を気にかけてくれるようになった。
学園に入ったことで兄弟の仲は良くなったし、深くなった。

中でも私は お兄ちゃんっ子で とにかくお兄ちゃんが大スキだった。


あまり変わることのない同じような毎日の中で
兄弟が待ち焦がれることは
お父さんが面会に来てくれることだった。

学園内で一緒に時間を過ごすだけだったけど
外で一緒にお出かけすることが出来るようになった。

初めて外で一緒に食べたものは ざるそばだった。

学園ではアレルギーの子もいる関係で ざるそばは食事で出されることはなく、
食べたことがなかったから嬉しかった。そんなことを お父さんに話すと
「じゃあ また食べよな」
優しく笑ってくれた。

外で一緒に食べるものは ざるそばが比較的多かった。
食べたいものを聞かれて
“ざるそば”と私が答えるからだ。
兄弟からはブーイングだったけど
「またかぁ~。サチは ざるそばがスキやなぁ」
そう言って笑う お父さんの顔が大スキだった。

お父さんと私たちだけの特別なものにしたかったのかもしれない・・・
< 8 / 12 >

この作品をシェア

pagetop