しゃぼん玉

お兄ちゃん(後編)

空の曇った日、心までも曇った。

大スキな お兄ちゃんが園長先生に怒られているのを見た。
中学生でタバコを吸っていたのが原因らしい。

その時の園長先生の怒り方が私には尋常じゃないように感じた。

(私)「お兄ちゃん…大丈夫?」
(兄)「兄ちゃん疲れた…」
(私)「サチは お兄ちゃんが だぁいスキだよ」

母親が痛い事をしたあと・・・冷たい言葉を言ったあと・・

“お兄ちゃんはサチが大スキだよ”
そう言ってくれたから
いつもくれてた言葉をかえした。
でも お兄ちゃんは何も言わず背中を向けて行ってしまった…

次の日の朝、お兄ちゃんの姿はなかった。脱走したらしい。
その数日後、3人は先生に呼ばれた。

「太一を迎えに行ったけど太一は自分で外の生活を選んだ。
 だから学園には帰って来ない。寂しいけど頑張ろな」

先生は その部屋を出て兄弟3人になった。
「大丈夫、兄ちゃんがおるから」
みっくん(光繕)が言った。
(私)「サチが ワガママやったから?サチの事、大キライになったの?」
こらえていた涙が次々 溢れては こぼれていった。
(愛歌音)「違うよ。お兄ちゃんキライなんか言ったことないやろ?」


ぶつけ所のない寂しさの牙は園長先生にむいた。
挨拶をしない、会話をしない…無視だ。

その時の私の精一杯の反抗だった。
これは高校に行く頃まで続くことになった。
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