エングラム
食べ終えると、二人で食器を洗った。
話しながらその作業も終え、リビングでテレビを見る。
「──…お前いつも何見てる?」
「正直、テレビはあまり」
もともと見るタイプではなかったが、音楽にのめり込んで更に見なくなった。
「あー…だよな」
シイもそうらしい。
頷いたシイは立ち上がり、テレビを主電源から落とした。
「2階で楽器やろうか」
クッションを抱いて座っている私に、手を伸ばす。
「はいっ!」
その手を借りて立ち上がり、適当な所に置いていたベースと楽譜が入った鞄を持つ。
シイの後に続いて、少し急な階段を上がる。
階段を上がると、部屋がみっつ。
シイはそのうちの右側の扉を開けた。
「ここで練習してる」
扉を開けられて電気が付くと、まず目についたのがエレキドラム。
そしてその近くに、それぞれ大きさの違う黒いアンプ。
意外なことに、スタンドにエレキギターが立て掛けてあった。
私の視線に気付いたシイが説明する。
「高校生ぐらいの頃に憧れて買ったやつ」