エングラム



その間私は落ち着きなく、花を見たりテレビのチャンネルを変えたり。

暫くするとシイが階段を下りてきて、私においでと言った。

テレビを主電源から切った私に、節約家っぽいなお前、とシイが笑った。

「シイ、花」

一輪ずつテーブルの上に置いてあるクラスペディアと紫蘭を一瞥する。

「そのままにしといて」

シイがそう言うから、そのまま置いて私も階段を上がった。




練習した部屋の隣の部屋が、寝室らしい。

そこには少し間をあけて、二つの布団が敷かれていた。

「寝心地悪かったらすまん」

「いえー」

多分この状況なら寝心地なんて厭わない。というかそれ所じゃない。

なかなか布団に入らず、悶々とする私を見てシイが言った。


「まだ食べないから」

「何の話ですか」

すかさず突っ込んだ。
一応、意味は分かるけど、ねぇ。

「今日は特に疲れただろ?」


シイが言った通りらしい。

 素晴らしい夜
Wonderful Tonightに浸るわけでもなく、私は布団に入ると直ぐに寝てしまった。


「おやすみ。──変わらぬ愛」


低い声と共に、私の頭が撫でられた。

シイが歌ってる。

黄金のまどろみ
Golden Slumber、と子守唄を。



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