エングラム
布団をめくりあげ、立ち上がるとシイがドアを閉めた。
置いてかれたと唇を尖らせようとして気付く。
「わ」
借りていたズボンが少し下がっている。
それに気付くと少し上げ、ゴムの部分を一回折った。
下着が少し見えてただろうと朝から羞恥に襲われる。
足が重くなったのを感じながらノブを捻り扉の外に身を出すと、直ぐに肩を抱かれた。
扉の外にいたのか、と考える前に、耳元に息。
「おはようシラン」
恥ずかしさを吹っ飛ばして、照れを感じながら私も返す。
「おはよう、シイ!」
出来るだけ幸せが伝わるような笑みを見せて。
シイは私の額と自分の額をぶつけてから、肩を抱いていた手を離す。
「そういえばお前さ」
シイが言いながら階段を下りる。私も後を追って下りる。
「夜、オレを名前で呼んだの覚えてる?」
「……………え」
言われてみればあったかもしれない。
「夜って?シイ?」
寝てる間に何か──ま、さ、か!
「いや何もしてねぇから、妄想すんな」
何も言わずシイの背中を睨む。