エングラム
「3位は敬語に戻った。かっこ笑い」
委員長が言いながら私の頭を叩いた。
一瞬突っ込むのも忘れて、思わずビクッと退いてしまった。
「…さ、3位って何ですかもう。しかもかっこ笑いって何」
私は上手く、笑えてる。
鏡など見たくはないけれど。
「おいビクッとすんな傷つくぞ3位」
ごめんなさいと謝ろうとした喉。唾を飲み込んでから、言う。
「ぼうっとしてたから、ごめんね。──というか3位って呼ばないでよ3位委員長」
委員長は、日焼けした腕を組んで言った。
「3位委員長ってなんか格好良くね?サン・イイインチョ」
意味わかんないよと、噛みそうだよと笑った。
そこでスピーカーから、次の競技を知らせる放送が入った。
学級対抗のリレーだ。
クラスの誰かが言い出す。
「なぁなぁ円陣組もうぜ!」
「良いじゃんそれっ」
飛び出た提案に、賛同の声があがる。
委員長がそれを聞いて、テントの下でテンションを上げだした生徒たちに言う。
「よっしゃ!やるぜ!」