洒落にならない怖い話
ふと、彼の視線が私の手元に集中しているのに気が付いた。


私も自分の手に目を向け、そして凍りついた。


30センチ以上はあろうかという長い髪の毛が無数に手に絡みついていた。


ホテルマンに荷物を取ってきて貰い、早々にホテルを引き払った。


あの部屋には二度と近づきたくなかったし、ホテルに居る事自体が耐えられなかった。


ホテルに問い質す気持ちにもなれない程にそこを出たかった。


ホテル側でも何の説明もせず、キャンセル料も取らず仕舞いだった。


詳しく聞き直す事も無かった様に思う。


私以外にも何かあったのかもしれないな、と思う。


未だにトイレのドアを閉める事に躊躇を覚える。


随分と昔の事になってしまったが、それきり調布には近づいてさえいない。
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