洒落にならない怖い話
不思議に思った祖父は服を脱いで褌一丁で海に飛びんだ。


イカリを見ると、何か絡みついている。


近くまで潜ってみると、ようやくそれが何か分かった。


女の髪がイカリに引っかかっていた。


勿論、女はホトケさんである。


着物もボロボロで、長い髪の毛が唯一ホトケさんが女だとわかる材料だ。


これはさすがに気味が悪かったがこのまま置いて帰るのも申し訳ないと思った祖父は、この海中の女を引き上げて舟に乗せ、そして港へ引き上げた。


港に帰ってくると、仲間の漁師から「大漁だな」とからかわれたりしながら、この顔に見覚えのある奴はいないかと村中聞いて回った。


結局、このホトケさんたち2人の身元は分からない。


しょうがなく、祖父は自分の家族でこの二人をオエビスサンとして道辻に埋めることにした。


着衣を脱がして装束に着替えさせる際、男の着衣から鉄製の薄くて小さな箱があり、中から一枚の紙キレが綺麗な状態で出てきた。


どうやらこの男は心中で海に飛び込んだらしい。


紙には心中相手の女に対する気持ちが書かれていて「愛してる」とか「生まれ変わっても一緒にいよう」などと、読んでるこっちが恥ずかしくなったそうだ。
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