ク ロ
おじさんが帰った後も、私は落ち着かない気分を抱えたままでいた。
ちっとも防音効果を発揮しないで、ただただ勘に障るだけの大音量のテレビを消した。


いいだろう。
好きなだけ鳴いてろ。

私は関知しない。
今日、数え切れないほど生まれた命と、数え切れないほど消滅した命。
その狭間に私がいてヤツがいる。
今、こうしている瞬間にだって大地震が起きて、私もヤツも消滅組に放り込まれるかもしれない。
そんな不確かなものを、いちいち背負ってなんかいられない。
知ったこっちゃない。
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