千夜を越えて





「みんな、顔色悪いですよ?大丈夫ですか?」








ご飯を必死に口の中へほうり込む隊士達を見て、あたしは不安になっていた。









ふと、端の方からこんな声が聞こえた。








「なぁ。相当やばいよな、これ。」




「あぁ。顔があれだけ似てんのに、料理の腕は全然違うよな。」






「千夜さんの飯は日本一だもんな。また食いてー。」









やっぱり、このご飯のせいなのか。








それと、さっきも原田さん達が言ってた"千夜"って人。
一体誰なのだろうか。








「あのっ…無理して食べなくて良いですよ。これでお腹壊されても困るし…」







みんながあたしの方を向く。






「あたし、料理とか全然、全くやらないんです。
だから、おいしくないなら大丈夫です。」








あたしは、なるべく笑顔を作った。



< 29 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop